借りてきた猫のように

――フィクションの中で生きる~映画・小説・音楽・マンガなどの日常――

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海外マンガ部会第10回大会(2017年7月25日)


 日本マンガ学会海外マンガ部会第10回大会おかげさまで無事終了いたしました。
 毎年1回程度大会を開催してきまして早いもので10周年を迎えました。
 2001年に日本マンガ学会が創設され、京都精華大学マンガ学部をはじめ、大学の制度内でマンガ研究(実作含む)を学術的に学ぶ場が確立されてきましたが、その中で「海外マンガ」の領域は未だ充分に回路が定着してきたとは言い難いように見えます。とりわけ大学院以降の研究者/専門家養成機関としての面では立ち遅れていると言ってよい現状があります。
 その一方で、アメリカン・コミックス、BD(バンド・デシネ)、アジアのコミックス、世界中のカートゥーンなどを翻訳・紹介・研究している専門家の方々はそれぞれが独立独歩でその道を切り拓いてこられたわけであり、はたしてポピュラー・カルチャーの領域の専門家を養成することはどこまで可能であるのかという問いもあります。
 研究者、翻訳家、出版コーディネーターなど多様な領域の「専門家」にお話を伺い、さらに文筆家、出版業界関係者、ファン。コレクター、院生、学生など様々な方々にお越しいただき、「キャリア/教育」の観点を軸に、海外マンガの現状とこれからについて検討しました。

 翻訳家としてBD(バンド・デシネ)作品を精力的に紹介されている原正人さんにご講演をお願いいたしました。「海外マンガを仕事にする――研究の外側から」という演題で、これまでの遍歴をおもしろおかしくお話くださり、学習塾での人気講師でいらしたというご経歴ならではなのか、話に惹きこまれてしまうわけですが、スキルとサバイバビリティの高さに感嘆するばかりです。
 日本のBD受容の裾野を大きく拡張してこられた立役者ですが、翻訳だけでも、口語表現が生命線であるコミックス翻訳から、理論書、契約書に至るまでその射程は幅広く、さらにBD研究会を経て、現在は「世界のマンガについてゆるーく考える会」(2016年より現在まで7回開催)を主催されるなど分野の発展に対しても意欲的な活動を展開されています。

 海外マンガの先駆者であり、部会代表の小野耕世さんによるトーク・セッションでは、当初、フロアの質問に答えるという予定であったのですが、結果的に最新のご関心についてお話をうかがうことに。最新映画『ドリーム』や『ワンダーウーマン』から、話はアメリカ現代史、文学にまで連関し、さながら往年の大学の名講義のような趣に。東京大学教養学部にて当時、新設された大衆文化論講義を担当されるなど、ポピュラー・カルチャーの大学教育においても先駆者でいらっしゃるのでした。

 ほか研究発表として、初期アメリカ・コミックス研究者の三浦知志さんに「マンガの中の手紙」として、「手紙」がどのようにコミックス表現の中で描かれていったのかを分析いただきました。
 また、社河内友里さんに「アメリカン・コミックスにおけるビート・ジェネレーション文化表象の変遷」について報告いただきました。お二方とも「海外マンガ」関連領域で博士号を取得されています。
 さらに、翻訳家・出版コーディネーターの椎名ゆかりさん、アメリカの大学(ニューヨーク市立大学)にて日本のマンガ文化をはじめとするコミックス研究・教育に従事されているShige (CJ) Suzukiさんを交えて「海外マンガを研究すること――キャリアと教育」にまつわる討論を行いました。

 海外マンガ部会の年次大会は次年度になってしまいますが、臨機応変に随時、研究会も開催できればと思います。
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