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借りてきた猫のように

――フィクションの中で生きる~映画・小説・音楽・マンガなどの日常――

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2015年10月7日

「たぶんキミは本当は(そう)すべてパーフェクトなスター
 つかめない風のように 気楽そうに映るスタイル」
――Perfume「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」

 Perfume結成15周年/メジャー・デビュー10周年を記念して日本武道館(4日間)、広島グリーンアリーナ(2日間)でのワンマンライブをはじめとする10日分のイベント「Anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP『LIVE 3:5:6:9』」が開催され、さらにタワーレコード渋谷店でのPerfume展も展開中(「Perfume展 タワレコ後編~見といた方がえぇおもうよ?~」~11月1日)。

 武道館では当日行ってみたらなんとアリーナ最前列! 新譜を買っても最近は開封してもいないぐらいサボってるのでなんだか本当に申し訳ない。武道館は上の階でも傾斜がほどよくステージを見渡すことができる構造になっているためにどこの席からでも見やすいのだが、さすがに最前列は格別! 360度展開するステージということもあり、センターではなく横に近い場所ではあったものの、どの角度からでも楽しめるステージングの構成も見事。重低音の振動が響きすぎて心臓が痛いぐらい。
結成15年分最初からついてきているファンはさすがにほぼ皆無であろうが、すでにキャリアも長いので、年齢層は私も含めた「上」から下まで幅広く、女子グループも年々多くなっている。傾向としてはカップル率が高いのが目立つところか。神聖かまってちゃんや大森靖子のライブとは異なり、「絶対行きたくない」(それはそれで賛辞と思いたい)と拒絶されないだけの「健全さ」は特徴としてあって、個人的には藤子・F・不二雄のファン・コミュニティに似た印象を抱いているのだが(実際に「未来のミュージアム」[2013]は映画『ドラえもん のび太の秘密道具博物館』の主題曲)、今回の公演でもインスタレーションとの相性の良さというか舞台美術が素晴らしく、ダンス・パフォーマンスといい、アイドル的な要素やカルチャー的な要素などPerfumeのライブにそれぞれのファンが求める要素も多様な分ファン層も多様であるのだろう。
3時間に及ぶ公演であるにもかかわらずなぜか20曲以下しか演奏していない事実が示すように、「P.T.A.のコーナー」と称するファンとの交流コーナーがあり、場合によっては観客がステージに上げられる。これは怖い。あらかじめ実は上げられる人は決まっていて打ち合わせができていると思いたいが、客席にいても突然いじられたり、舞台に上げられたりする可能性もあり、一観客であっても気が抜けない独特の一体感(緊張感?)を作りあげている。
「結成15周年記念」イベントであることからも、これまでの歩みをふり返る場面も多く、また10周年の時にはセットリストの候補に入っていなかった広島インディーズ時代の曲「彼氏募集中!」(2002)なども披露されたのは現在の好調ぶりと自信のあらわれを端的に示していると思う。

 私にとっては、以下の3点がもともとPerfumeに関心をもった主な要因。
<(1)「広島弁を喋る女の子のおもしろさ」>
テクノポップを基調に人工的なアンドロイドの世界観に貫かれた当時の楽曲の作品世界と奔放に広島弁を駆使するMCとのギャップの大きさが何よりおもしろかった。「ローカリティ/地方文化」の文脈で取り上げたこともあるが、方言と地方色をどのように大衆文化の中で活用することができるかという観点も有効だろう。

<(2)「リアリティTV/セルフカメラ研究」の観点からの関心>
アミューズの女性新人アイドル育成プロジェクト「Bee-Hive」(2003-06)の一環として女子寮に設置されたウェブカメラ(Bee-Hiveカメラ、2003-05)を活用して他の同僚アイドルなどともあわせてイベントや女子会トークなどの配信活動を展開しており、まさに「リアリティTV」の最先端を示していた。それこそその時々の人間関係の推移や、音楽やパフォーマンスなどの表の活動とも異なる面が垣間見えるのがリアル。
 ウェブカメラは24時間生中継されており、空いている時間は誰でも利用することができるのでライブ活動などの告知もあれば、暇つぶしのようなお喋りに興じることもあり、あるいは突然、アイドルとして先が見えない不安を吐露することもあって、それこそ十代女子のアンバランスな心情が見え隠れするところに醍醐味があり、悪趣味な覗き見的要素も含めて壮大な実験企画であった。

<(3)「ゼロ年代的ファン・コミュニティの展開」> 
Youtubeやニコニコ動画をはじめとするインターネットツールを活用したファンによる自発的な広報活動が大きな役割をはたしていた。とにかく常に崖っぷちでいつ活動終了を宣告されてもおかしくない状態が続いていたわけでファンも必死。肖像権・著作権など厄介な問題もあるが、ゼロ年代アイドル・カルチャーの展開を探る上でPerfumeをめぐるファン・コミュニティの展開は重要な素材となるはず。

 私の担当している教養科目「現代文化における思春期の表象」(2009- )では、歌謡曲~J-Popの歌詞の分析を導入しており、Perfumeの楽曲も毎年、素材として取り上げている。メジャー・デビュー以降の曲は中田ヤスタカ(Capsule)による詞・曲であるが、インディーズ・レーベル時代は、木の子という女性作詞家による楽曲があり、シングル曲「モノクローム・エフェクト」(2004)などがその時期の代表曲。アイドル冬の時代とされる時期であったことからも、十代の女の子の青春を高らかに歌い上げる内容とはほど遠く、都会にあこがれて田舎から出てきたけれども都会の雰囲気になじめないでいる女の子の不安定な心情を描くなど、およそアイドルらしくない独特の屈折した世界観がこの時期の楽曲の魅力で、実は結構名曲が多い。
さらにメジャー・デビュー以降は、「リニアモーターガール」(2005)、「コンピューターシティ」(2006)、「エレクトロ・ワールド」(2006)と続く「近未来三部作」で、人工的なアンドロイドとして感情を抑えた歌唱法と世界観で特色を示す。ゼロ年代の男女観/恋愛観などを探る上でも格好の素材であり、「コンピューターシティ」(2006)は現在でも一番人気の高い楽曲の一つ。
 その後、2007年に「リサイクルマークがECOマーク。」CMソングに抜擢された「ポリリズム」によるヒット以降、アンドロイド路線から、いわゆる等身大の女の子を描く路線に転換点していく。恋愛しはじめの十代男女の淡い恋を描いた「Puppy Love」(2009)などがあり、私が歌詞の分析を扱っているのはこの時期ぐらいまで。というわけで久しぶりに「Puppy Love」を武道館ライブで聞けたのはよかった。
 アイドルグループの多くに「卒業」がついてまわるように、永続的に続けられるものではない「刹那」に生きることはアイドルの宿命でもあろう。パフォーマーとしてであればその先を志向することはできるだろうし、実際に海外展開を含めた活動の拡張はこれまで功を奏していると言える。2014年に展開されたワールドツアー(「Perfume WORLD TOUR 3rd」など)の様子を辿るドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume』(佐渡岳利監督)も10月31日公開。意外にも公式ドキュメンタリー映画ははじめて。
 はたして「どこまで」「どのように」これから先の「瞬間」を志向することができるのか。










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