借りてきた猫のように

――フィクションの中で生きる~映画・小説・音楽・マンガなどの日常――

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2015年11月22日

「世界のCMフェスティバル2015」の東京会場は今年から世田谷区の109シネマズ二子玉川に場所を移しての開催。もともとは1981年にフランスでスタートした、世界50ヶ国の最新傑作CM500本をオールナイトで上映するイベント「CM食べ放題の夜」をもとに、九州大学・九州芸術工科大学などで講師をつとめていたジャン・クリスチャン・ブーヴィエ氏が1999年に日本版として博多でスタートさせて以降、日本全国をまわるTVCM上映会ツアーとして現在に至るまで発展を遂げ、毎年恒例のイベントとして定着してきている(福岡・兵庫・京都・静岡・名古屋・群馬・東京・札幌など)。
昨年までは58年の歴史を持つ新宿の老舗映画館ミラノ座を長年、東京での会場にしてきたのだが、残念ながらミラノ座の閉館に伴って継続できなくなり、本年度から新しい会場に。新宿歌舞伎町が持つ独特の猥雑な活気もお祭り気分との相性がよかったのだが、二子玉川の落ち着いた街並みと最新のシネコンの洗練された映画館の雰囲気に様変わりし、シネコンのシアターを2会場同時に用いて上映イベントを展開するという荒業で東京会場はまさに新時代の到来に。昨年までの大会場での一体感の代わりに、2会場を繋ぐライブ感覚がお祭りイベントの雰囲気を盛り上げ、現場では新しい会場のスタイルを探る試行錯誤期となっていたのかもしれない。
 それにしてもブーヴィエさんは2会場を行ったり来たりで大変だったはずですが、真夜中に誰よりもお元気で会場中を走りまわられてました。

 世界のCMフェスティバル(東京会場)の醍醐味は何といってもオールナイトで400~500本のCMを鑑賞することにある。CMは「時代の鑑」とよく言われるように、定点観測的に毎年これだけの数のCMを見ていくとその時代のトレンドが何となく見えてくるし、文化の違いに対する意識も鋭敏になってくる。飽きさせずそれぞれのCMに先入観なく浸ることができるように基本的にランダムにCMは流れるのだが、特集として、珍しい国や地域のCMやテーマ別などの枠組みでまとめて概観できるのも魅力。
象牙売買がテロに繋がることを示唆する政治的な狙いを込めたCMや、交通事故撲滅キャンペーンの公共広告など胸に迫るメッセージ性にあふれたCMもあれば、インドとパキスタンへの分離独立をきっかけに離れ離れになってしまったおじいさんの旧友を、その孫娘がインターネットで検索して見つけ出す物語(GoogleのCM)など短編映画を観るような感動的な作品まで、CM表現の多様性を実感できる。TVCMを映画館のスクリーンの迫力で堪能できるのも新鮮。5部構成となっており、休憩時のロビーではワインや焼酎、コーヒーなどの特別割引や試飲なども。パントマイムやマンダリン演奏などのパフォーマンスやスポンサーからの景品が当たる抽選会なども挟み込まれ、オールナイトならではの高揚感もあわせてお祭り感覚を演出してくれている。

 現在はメディアの転換期であり、若い世代のTV離れやTV以外のCM展開も目立つ傾向にあるが、だからこそTVCMというメディアの有効性や表現の可能性をあらためて考える良い契機にもなると思う。とはいえ、小難しいことをことさらに考えなくとも、CMを純粋に楽しみながらメディアや世界の「いま」について学ぶことができるのが、この「世界のCMフェスティバル」の最大の魅力であり、とりわけ大学生をはじめとする多くの若い世代の人たちに楽しんでもらいたい。広告、CM、メディアや世界を見る見方がきっと変わってくるはず。

 本年は今後も12月19・20日にアンスティチュ・フランセ関西(京都)でのイベントが予定されているほか、次年度以降も継続される予定である。


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